勿忘月夜 歌詞
忘れな月夜 - Sound Horizon (サウンドホライズン)
宵闇の空に
見上げた月が
何処か懐かしく
不意に何故か
ひとすじのあめ
降り注ぎ浮かび上がる
駆け抜けたかこのひかり
人差し指で
すくい上げた
矛盾をこばむように呟いた
私幸せだと
What really was the moonlight for her
The unknown lady
Who lived outside the pages of Märchen
She is the Nein
凜と冷たい
靜謐な朝の空気
差し込む光
獨り切る十字
祈りを捧げる
充ち足りた幸せ
感じながらもふと顧みる
貴族のうたげは
儚い夢
踴る相手も選べぬまま
世俗のゆうぎに
組み込まれて
狹い鳥籠で
せいを終える
その檻の中から
抜け出したのは
自分の意思などではなく
ただ
ガラクタのように
処分されただけ
「被告として
駆り出された法廷
それは名ばかりの
離婚裁判で
裁判長をはじめ
陪席者に至るまで
おっとの息が
掛かった者達ばかりだった」
「跡継ぎを
もたらす事のない魔女
邪魔者を離縁する為の茶番
有る事無い事並べ立て
おとしめられ
「婚姻の無効」だと
斷罪された
子をなせぬ女は
唯それだけで
罪だと言うのなら
そんな世界に
未練などないわ
卻かえって清々するわ
こちらから願い下げだわ
速攻激昂
選帝侯
月光が見てた
「許さん
許さんぞエリーザベト
私の顔に泥を塗りおって
いつまでもままごとを
引きずる行き遅れが
急に素直に嫁いだ
と思ったら
その結果がこれだ
こんな失態を曬しておいて
安穏と戻る家が
あると思うな
何処へなりと勝手にゆけ
お前を掘り返した母上と
自らの運命を呪いながら
野垂れ死ぬがいい」
「お嬢様ー」
お年を召した方の
朝はいつもお早いことっ
飾り立てた悪意を
背中で受け流す
花嫁修業の修道生活
模範的な貴族の子女にとって
私は最低の模範解答
忌避すべき最悪の未來
女のきせつは
短いなつ
瞬く合間に通り過ぎる
剎那のきじゅんに
もてあそばれ
狹いとりかごで
せいを縛る
その檻の中から
抜け出して
自分の意思で
はばたける
そんな時代が
何時か來るのでしょうか
「おはよう」
「うっさい」
お寢坊さん達が起きて來て
また新しい朝が始まるわ
駆け寄って口接ける三つの
脣からつむがれる二つの
イッヒリーベディッヒ
嗚呼
親に疎まれ
託された可哀想な
天使達は
みな無邪気に笑うけれど
一人は耳に一人は目にそして
一人は喉に重い障礙があった
嗚呼
優しさを生む
母は強さではなく痛みなのだ
寧ろ強さはその娘
信仰の薄い
むすめに捨て子と
揶揄されても
「平気っ
エリーゼ・ムッティが
いるからっ」
Ah ah ah
おお主よ
愛とは何の為に
母性とは誰の為に
あるのでしょうか
Ah ah
おお主よ
せいとは何の為に
血縁とは誰の為に
あるのでしょうか
「私ねマリア様って
ムッティみたいな
人だったのかもって思うの」
「うん」
後悔などしていないわ
嗚呼これが私の人生
ディー ハイリゲ
ディー ヘクセ
せいもないも
私はエリザベート
エリザベート
唯のエリザベート
宵闇の空に
見上げた月が
何処か懐かしく
不意に何故か
ひとすじのあめ
伊丽莎白總是這樣堅強