紅簪 歌詞
紅簪 - かめりあ (camellia)/Nanahira (ななひら)
詞:かめりあ
曲:かめりあ
(逢瀨は幻 聲は泡沫
褪せぬ痛みは 誰を待つ)
(噓と唱へて 掩はぬ目蓋
緋の影 薄らぎもせず)
霧の參道 椛踏み敷き
燈籠の縁 暈す
幾年前の夜 助けた白い狐
耳に紅簪
金の瞳に 名を呼ばれて
胸の裡 綻ばせる
「また逢えましたね」とまた雲ふ
笑みは幽か寥し
其の由は承けながらも
風に忘れたくて
恰も暮れない陽の紅々
緋の影が 僕から離れない
尾を弌つ消した 代償に 生き存える
(存える 存える 存える 存える うゝ)
君に逢う每 「來るな」と告げども
救ひの手を抻す 皓い尾の獸
靜かに留む 簪 紅く燃えゐたり
(呻きも呑まれて 息は絶え
途切れた謡よ 月が抱く)
(影は代わりに 穢れを背負い
誰が許へ馳せ駆ける)
屾を下れど 殘像を観る
慈しむ守り神
熄みかけた火を 熾しては去る
「化かされている様だ」
浮丗は鐵より 冷たく斬り裂いて
此の身 誰かが屠る
けれど 駆け寄った 雪が纏い
幾度も 尾で庇う
玖つの神威よ 削がれ往く程に
月も缺ける
脆く孅い 珠に紅
恩返しの爲 すべて 擲つのかい
其の聲は凪げど 頬に雨粒 零れ落つ
「どうせあの日に 果てていた命です」
簪を渡し
君は物も言わぬ狐に還る
僕は 嗚呼
軈て儚い 儘きゆく紅
殘り尾ひとひら 綫香花火
凍える奈落から
もう一度だけ繼ぎ留む
( 繼ぎ留む 繼ぎ留む
繼ぎ留む 繼ぎ留む うゝ)
「どうか未だ逝かないで」
「どうか未だ逝かないで」と
聲を枯らして號べど もう屆かない
嗚呼 もう弌つ重ねた齡
濡らした袖の內に 言の葉ひとつ
寒き掌に 簪 紅だけぽつり
(逢瀨は幻 聲は泡沫
褪せぬ痛みは 誰を待つ)
(噓と唱へて 掩はぬ目蓋
緋の影 薄らぎもせず)